第一回お茶の間ミステリ読書会 レポート
去る8月30日(土)、第一回お茶の間ミステリ読書会を開催致しました。
会場となった福岡市赤煉瓦文化館(福岡市文学館)は、福岡市中央区に位置するクイーン・アン様式の歴史的建造物です。
(撮影:コージー・ミステリとジャネット・イヴァノヴィッチをこよなく愛するM嬢)
当日は、主催者が気を揉んでいたお天気も崩れることなく、絶好の読書会日和でした!
さて、今回は第一回ということもあり、定員8名という少人数での読書会となりました。
当初、少人数とはいえ定員が埋まるかしらん?と少々不安ではありましたが、無事満席となり当日を迎えることができました。
そして記念すべき第一回目の課題書は、「怪盗アルセーヌ・ルパン」シリーズでお馴染み、モーリス・ルブラン著『奇巌城』でございます!
(右は主催者M作成のレジュメ)
そう!子供の頃、学校の図書室には必ず置いてあったあのルパン!
堅い表紙で、開き過ぎると背がバリバリッ!と割れちゃうポプラ社バージョンを読んだ人も多いよね!?
あの頃のドキドキとワクワクをもう一度!
大人になった今、「怪盗アルセーヌ・ルパン」シリーズを今一度読み返してみようではないか!ということで、読書会スタートです!
参加者8名の内のほとんどがお互いに面識有りというメンバーだった為、円卓を囲んでの読書会は和やかムードで始まりました。
初めに簡単な自己紹介を済ませたあとは、各自自由に発言するというスタイルで進めていきました。
今回の課題書は、複数の版元から複数の翻訳者によるものが多数出版されているのですが、まずは、どの版元のものを読んだか?という話題から。
新潮、早川、集英社、ポプラ社、偕成社、青空文庫と一通り出揃いました。
(当日ワタクシが持参した四冊。集英社版に関しては、「何でこのカヴァーなの?」というご意見多数。)
中でも、集英社版の他に、Kindleにて無料購読できる青空文庫の菊池寛訳バージョンを読んだM嬢の、「とても素晴らしい訳!読んでいて頭の中にその場面がパッパッ!と浮かんでくるような感じ!まるで舞台を観ているよう!でもけっして大袈裟じゃないの!」という意見に、参加者一同から、「おお~っ!さすが真珠夫人!」というどよめきが。
いや、「さすが真珠夫人!」ってあなたたち(笑)。
早速その場でKindle版をダウンロードする参加者もいた程、皆さんの食いつきっぷりがよかった菊池寛訳でした。
内容に関しては、作中登場するシャーロック・ホームズについての意見が真っ先に出ましたよ!やっぱりねー!
「もう、とにかくホームズの扱いがヒドイ!」
「完全にバカにしているというか、おちょくってるよね?」
「ホームズが誘拐されるとか!有り得ない!ムキーッ!」
「解放されたと思ったら、ぐるぐるに簀巻きにされてちゃってたしねぇ・・・。アハハ!ウケルw」
「本来ホームズは射撃の名手のはずなのに、撃ち損じるとか!ない!ホームズに限ってそんなことは絶対にないっ!」
「ん~、まぁ、作者のルブランがドイルの生み出したホームズをそれだけ意識してたってことなのかしらねぇ?」
「そうそう、嫉妬よ嫉妬。そうに違いない!」
「あ、でも、原文ではシャーロック・ホームズじゃなくて、エルロック・ショルメだって知ってた?シャーロック・ホームズのアナグラム。だから、厳密にはホームズとは別人らしいよ?まぁ、誰が読んでもあのホームズのことだと分かるけど。日本では、邦訳する際に誰のことだか分かんなくなっちゃうから、昔からシャーロック・ホームズって訳すのが慣習になってるんだって。実は私、この事実を今回初めて知りました!テヘ」
「でも、この事実を知らない人って絶対多いよね?」
「うんうん」
「あ、私も今回あとがきを読んで初めて知りましたー」
「でしょー!」
とまぁ、みなさんホームズの話となると喋る喋る(笑)。
ホント、ホームズって愛されてるのねぇ。
でも、主人公はルパンよ!ルパンなの!ホームズじゃなくってよ!
と、ホームズ話でみなさんの口が滑らかになったところで、ここからが本題!とばかりに、ルパンや本作についても活発な意見や感想が出ました。
「ルパンはとにかく自分語りが好きよねぇ」
「自分のことを得々と喋り出したら止まらない。追っ手がすぐそこまで迫ってるのに、まだ喋ってる。はよ逃げろと・・・」
「自分大好き人間。超自信家」
「あ、でもカリスマ性はあるよね?」
「手下も多いしね。そのカリスマ性に惹かれるんじゃないかしら?」
「でもやっぱり、基本ナルシスト」
「そうそう。ナルシスト。それは間違いない」
「あと、女性関係がお盛んよね?」
「必ずストーリーに女性が絡んでくる。んで、すぐ恋に落ちるw」
「シリーズ中、一体何人の女性との間にロマンスが生まれたんだか!」
「ロマンティストなのよ~♪」
「大抵悲劇に終わるみたいだけど」
「今回のレイモンド嬢のようにね」
「やっぱりフランス作品だけあって、ロマンスが欠かせない?」
「そうね!おフランスだし!」
「うんうん。さすがおフランス!」
「おフランスといえば、作中、マリー・アントワネットの祈祷書とか鉄仮面とかうまいこと絡ませてきたよねー」
「でも、暗号はとにかく分かり辛かった。暗号文解読の場面も、文章で読むとよく分からない」
「ああ、確かに。でも、ポプラ文庫クラシック版はジュニア向けなせいか、とても丁寧に分かりやすい言葉で説明してあるよ」→一同「へー!」
「ルパンといえば盗みはやるけど殺しはやらないっていう・・・」
「盗みはやるけど、心底悪人ってわけじゃない」
「その盗みもお金が目的じゃなくて、不可能に挑戦するのが好きなのよね」
「そのためには手間隙、努力を惜しまない。そして、やってのけるのがスゴイ!」
「とにかく、人がアッと驚くようなことをやってのけるのが大好きな子供みたいな大人」
「だから子供の頃読んで、あんなにワクワクしたのかもネー」
「うん。確かに。小学校の図書室には必ずあったよね?ルパン・シリーズ」
「あった、あったー!」
「夢中で読んだよ!あと少年探偵団もね!」
「そういえば、大人になって冒険小説ってあんまり読まなくなったなー」
「でも今回、大人になって改めて読み直してみて、あの頃のワクワクとドキドキが蘇った!」
このように、賑やかに会は進行し、一つの作品について語り合う読書会の楽しさを改めて感じました。
他に、「本作で大活躍したイジドール少年が、他の作品に一切出てこないのはもったいない!全然活躍していないシャーロック・ホームズは、他の作品にも出てくるのにねぇ?」、「暗号が出てくるミステリって、他に何があったっけ?→分かんない。今パッと出てこない」、「ルパンって、個人で潜水艦を所有してるとかすごくない?しかもあの時代に!どんだけ金持ちなの!」、「森田崇センセの漫画、『アバンチュリエ』の影響で原作を読む人が増えて、ルパンブームがこないかな?」といった発言も飛び出し、大いに盛り上がりましたヨ!
今回、子供の頃読んだ「怪盗アルセーヌ・ルパン」シリーズを大人になった今、改めて再読してみて、懐かしさと共に新鮮さもあり、認識を新たにした部分も多々あったという意見が多かったように思います。
8人という少人数では時間が余ってしまうのでは?という心配はどこへやら、あっという間の2時間でした。
この後、場所を移しての懇親会では、みなさんお酒も入って更に饒舌に!
(西中洲の「虎ノ屋」さんにて。炊き餃子が美味しかった!)
特に、来年2月に予定している第三回読書会で、横溝正史の「金田一耕助」シリーズを課題書にするという話の盛り上がりっぷりといったら、もう!
次から次へとシリーズタイトルが出てきて、はしゃぐことはしゃぐこと!みんなホントに横溝が好きだな~!
その前に、第二回があるってことを忘れないでネ!
横溝話で盛り上がったところで時間となり、読書会本会、懇親会共に盛会のうちにお開きとなりました。
今回、第一回ということで行き届かない点も多々あったかと思いますが、参加者のみなさんと共に楽しい時間を共有することができ、「ああ、思い切ってやってよかったな」と改めて思いました。ありがとうございました!
さて、今後の予定ですが、第二回お茶の間ミステリ読書会は、11月29日(土)15時~17時開催予定です。
次回は人数が若干増えまして、定員10名(主催者2名を除く)の予定です。
現時点で課題書は未定ですが、次回も引き続き翻訳ミステリを予定しております。
課題書他詳細は、10月半ばに当ブログにてお知らせ致しますので、どうぞお楽しみに!
また、懇親会でも話が出ましたが、スピンオフ企画として、英語で未訳児童書を読む「洋書 de 読書会」も計画中です!こちらは半年に一回程度の開催を目指し、第一回は来年6月辺りに開催出来ればと思っております。
*追記
当読書会陰の代表、N女史が、読書会ミニレポートを書いて下さっていますので、そちらも是非お読み下さい!→ほんとうの空色 第一回お茶の間ミステリ読書会のミニレポート
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